七 傀儡

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七 傀儡

 惑星ガイアの神殿の、巨大電脳意識・神場のディスプレイに、ダリウス・デス・ダイナスの、新たな思考と記憶の4D探査映像が現われた。ダリウスはデロス帝国軍との戦闘で負傷し、リブラン王国の病院にいた。 「ダリウスの思考と記憶が変化してる!誰かがダリウスの肉体を奪おうとしてる!」  巨大電脳意識・神場は、ダリウスの中のいる精神と意識の波動残渣を4D映像探査した。  神場のディスプレイに現われたのはレプティリア(蜥蜴が収斂進化したレプティロイド)だった。レプティリアの捕食対象はラプトとディノスとヒューマだ。  神場のアバターの口調が変わった。 「レプティリアはリブラン王国にウィルスをばらまいて経済を混乱させたが、リブラン王国がデロス帝国の侵略を受けたのはリブラン王国の無計画な政策とメテオライト落下による経済混乱の結果だと思わせた。無計画な政策と経済混乱、侵略戦争。それらで食糧難になり人口減少が始まったのは、ウィルスをばらまいて経済を混乱させた奴らの戦略だ。奴らはさらに、天変地異を起こしてラプトの人口を減らす作戦を立ててる」  弾鉄は疑問点を訊いた。 「リブラン王国からラプトが減って奴らの食糧がなくなったら奴らが困るだろう?」 「奴らよりラプトが多すぎる。ラプトはいずれリブラン王国の食糧を食い潰す。だから適度にラプトを減らしてる。残るのはレプティリアと協定を結んだ財力あるラプトだけだ」 「これから何が起こる?」と弾鉄 「すでにラプトもディノスも、大半の思考と記憶がレプティリアに上書きされてる。今は思考と記憶だけだが、いずれ精神も上書きされる。最終段階でラプトとディノの姿がレプティリアに入れ代わる。つまり、ある日突然ラプトとディノスがレプティリアに変わる。  奴らにとって若者は食糧で資源だが、人口を増やしたりしない。人口が多すぎるのだ」  かつて、巨大電脳意識・神場は4D探査波で、惑星ガイアに棲息するヒューマの細胞分子記憶領域に、ディノスとは相容れぬ遺伝情報を組み入れ、ヒューマとディノスとの交配はおろか、ヒューマがディノス食した場合に生じる細胞融合によってディノスがヒューマの肉体を乗っ取る事を不可能にした。  直ちに神場は4D探査波でラプトとディノスとヒューマの細胞分子記憶領域に、レプティリアとは相容れぬ遺伝情報を組み入れ、レプティリアの精神と意識が侵入できぬように、また、肉体を奪われぬように細胞融合をも不可能にした。 「これでレプティリアはラプトとディノスとヒューマを食糧にできなくなった。  いずれ、レプティリアはその数を維持できなくなりますよ」  アバターの神場・髪の長い古代の女戦士が、弾鉄に微笑んだ。これで世界は私の物です、と弾鉄に伝えながら・・・。 (了)
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