0人が本棚に入れています
本棚に追加
あー、ほんとムカつく、あの監督。
甲子園出場経験のある高校からきたとか、えらそうにさ。
俺らで甲子園いけるわけねーじゃん、それなのに練習キツイ。
部活もうやめようかなあ、でもN高校と試合はしてみたいんだよな。
去年に負けて悔しかったから。
そうはいっても監督は嫌だな、やれやれ......。
頭ん中で愚痴を吐きながら合鍵で玄関のドアを開ける。
「ただいまーっ!」
うちは専業主婦だから、部活を終えた頃に夕飯ができてて匂いがする。
それなのに、今日は匂いが無い。
「ただいまー、母さん?」
「おかえりーっ洋二(ようじ)ラーメン食べに行って」
「はあ?」
廊下の向こうから母の声が聞こえてきた。
「お母さん、今夜は夕飯をつくれないの、ラーメン食べに行って」
「なに?具合い悪いの?」
「来ないで!今日はラーメン食べて!」
「なに言ってんだよ、もうっ!」
俺は通学鞄とスポーツバッグを玄関に放り投げた。
「どいつもこいつも、イラつかせやがって!」
俺はスマホと財布だけ持って、玄関のドアを閉めた。
最初のコメントを投稿しよう!