8回目

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8回目

また時が戻る 私は、右に方向転換すると、ドアを横にスライドさせ、 両足を入れた後、ピタリと締めた、 TVのアナウンサーが報道を続ける中 やや早い忍び足で、キッチンに向かう 「ただいま」 背中から声がした 緊張感が高まる、 台所には、小麦粉、まな板、包丁、ピーラーと色々あるが、 目的はその下 台所の下の…収納スペース! 素早さの中に、繊細さを含めたような動きで、 扉を開け、入り、閉める、 の一連の動きをやってのけた 真っ暗な狭い空間… 後は、息を潜めて、祈るしかない、 足音が、近づいてくる 手が汗をかき始め、鼓動は自然と速まった ドクドク ドクドク ドクドク ドクドク 声を殺してるので、心臓の音がよく聞こえた 見つかったら、殺されるかくれんぼ、 スリルあるなぁ… その時だった、最悪の状況は カサッカサカサカサ ん?何の音だ?、私じゃない… 左の壁から音がする 首を回すと異質な物体があった 触ると、ツルッとした感触 目を凝らす、 …長ーい触角、脂っぽい羽… あ… 全身から血の気が引き、 脊髄反射で叫んだ 「ぎぃああああああああああああああああああ!!!!」 全力で扉に体当たりして、転がるようにして出ていった もう、隠れるとかクソもない! 16年の人生で、多分一番でかい声を出してる だって!いるんだもん! 当然、発見され 男が刀を振り下ろしてくる まだ目にくっきりと、「それ」の残像が残っている 全身鳥肌で呟いた 「うあぁ…おかえり…」
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