死にゲー

310回目

かなりかすれた声だった
もう限界だ
もう…死ぬのか
元々絶対無理だったんだ、こっから生きるなんて
死んだ後どうなるだろう？
お母さんは…悲しむだろうな
後を追うかもしれない
学校では、噂が流布する程度だろうな

「ただいま」

そしてこいつは？
警察に捕まるだろうな、ざまあみろ
…でも、刑務所に入れられても、
その間こいつは、飯食べて、寝て、起きて、飯食って…生きる
私は死んだのに？
それに、いつか出所するかも
「更生しました」なんて言って、青空の下を歩くかもしれない…
私は、死んだのに…？

いつの間にか刃先が、胸に刺さる瞬間だった
世界が、スローモーションになる　
体が、後ろに倒れていった

何度も、数え切れない位、足掻いて、頑張って、苦しんだのに？
この男は、生きる
何にも悪くない私が死んで、
悪いこいつは、生きる？
……許せない、
絶対に許せない
急に怒りと憎しみが込み上げてくる
でも、
まだ死んでない、まだ生きてる
まだ、変えられる筈

…それにしてもゆっくりだな
今、タキサイキア現象か…
！だったら！
ここで作戦を立てる他ない！

ゴン！と頭が床にぶつかる
構わず考えた、
声的にも次で最後にする、
今までやって来たことを複合させれば……
その時
頭の中のパズルがピッタリと合う感覚がした
これなら…
変えられるかも…！
全ての力を喉に入れる
死んでたまるか！

「おかえりっ！」