3回目

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3回目

「続いてのニュース…」 横からはTVのアナウンサーの冷淡な声、 私は玄関の前に立っていた 自分の胸に手を当てる、トクトクと動いてる 生き…てる? リアルな夢だったのか? まぁ、なんでもいい、よかった 余りの安堵に膝をついた時だった 「ただいま」 鳥肌が全身に走る 心臓がまた早鐘を打ち出した え!?まさか まさかそんな訳ない… また扉は開き始めた さっき見た男と何一つ変わらない人間が 顔を出しはじめる これは、また悪い夢?絶望感で声が出ない、だが とにかく逃げなければ、また… 先ほどの嫌な記憶、感触が蘇ってくる 男が駆け込んで玄関に足を踏み込んでくる 早く!自分を奮い立たせ、 体を反転させながら立ち上がると 同時に足に力を入れ、右足を強く踏み出した だが、フローリングと靴下と全力疾走の相性は最悪らしい 「あうっ」 恐怖も相まったのか、綺麗に転んでしまった 額がぶつかり、衝撃が走る 痛!? その時背中からヒュン!と風切り音がする そうか、突きをギリギリで避けたのか… だが、最悪の状況であることにもちろん変わりはない パッと振り向くと、男は刃物を持ち変え 伝説の勇者の逆再生(?)さながらに 刃を振り下ろそうとしている 恐怖で顔が引きつる さっき転んだ痛みで確信した やっと呑み込めた、今私は現実を生きてる 紛れもない現実、ならさっきのは…? そして直ぐに刃は背中に到達した グチャっという嫌な音がして グッと、ものすごい痛みが込み上げてきた 「あああああ!」 耐えきれない痛みに自然と悲鳴が上がった いっっった!ダメだ!死ぬ! でも、現実なら!……現実なら! 痛みを堪え声帯に力を入れる 「お…かえり…!」
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