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頭ではそう
わかっていたはずなのに
諦めの悪い心は
わかっていなかったみたいで
自分の好きだって
気持ちを抑えることができずに
北川さんから差し出された手を取ってしまった。
「……本当はね、ずっと一緒にいたかった。もっともっと北川さんと一緒にいたかった。でも……」
でも
それでも
やっぱり彼が
社長となると話が別だ。
きっと
私の傍に彼がいると知ったら
あの人は必ず笑いながら私の前に現れる……
「じゃあ、一緒にいてよ」
「っ!?」
背後から
聞こえてきた
声に
振り向けば
そこにはいるはずもない
北川さんが優しく微笑みながら立っていた。
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