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「困ります、こういうの!!」 「……」 「……自分勝手なこと承知で言います。先日の話なかったことにしてくれませんか?」 話そうとすると 声が震えてうまく話せない…… きっと 私の中の本能が こんなこと言いたくないと拒もうとする。 「……俺も、困るな」 ……俺? いつもは 自分のことを"僕"って呼んでいた 北川さんの口から初めて聞く"俺"って言葉。  「……俺、さっきも言ったけど、奈央ちゃんのこと手放す気ないよ」 繋いでいた 手にギュッと力が入った。 「……なんで」 「ん? 「なんで、私なんですか?」 「理由なんてない。他の誰でもない奈央ちゃんだからだよ」 「……北川さんがウチの会社の次期社長だって聞きました。そんな人が私なんかに本気になるはずないじゃないですか!!……安心してください、このことは誰にも言いませんから、もう、私に関わらないでください」 .
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