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「嫌なら、全力で拒んで」
そう
言いながら
少し
荒々しく
片手でネクタイを
外す余裕のない北川さんの姿に
今まで感じたことない感情が
芽生えて気づくと言葉の代わりに彼の首に腕を回していた。
嫌、じゃない……
むしろ
私の身体は
北川さんを求めていた。
「北川さ」
彼の
名前を呼ぼうと
声を出せば遮るように
私の唇に指をそっと当てた北川さん。
「誠一だよ」
「……誠一、さん……」
「ん、よく出来ました」
至近距離で
甘く優しく微笑まれ
心臓がドクンと跳ねて
誠一さんへの好きの気持ちが溢れて止まらない。
「好き、です……」
「俺も、好きだよ、奈央ちゃん」
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