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耳を 澄ますと とくん、とくんと 聞こえてくる誠一さんの心音と 肌と肌が触れ合い感じる誠一さんのぬくもり。 夢、じゃない…… これは現実なんだ…… 「……えへへ、ありがとうございました。もう、大丈夫で、わっ!!」 現実なんだと実感して 彼の腕の中から離れようとした瞬間 グッと背中を押され さっきよりもギュッと強く身体を抱きしめられた。 「あ、あの」 「俺は全然大丈夫じゃない」 「え?」 「まだ、奈央ちゃんが足りないんだけど」 「っ」 「だから、もう少しこのまま、ね?」 「……はいっ」 こんなにも 誰かに大切にされ 愛されたのは生まれて初めてで 慣れない幸せに正直戸惑うこともあるけれど でも、今の私はこの上ないくらいに幸せに満ち溢れていた。 .
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