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「会社まで送らせて?」
「で、でも」
「……じゃあ言い方を変えよう。俺は、もう少しだけ奈央ちゃんと一緒にいたいから、車で奈央ちゃんのこと送らせてほしい」
「っ」
「……ダメかな?」
甘い声と
表情でそう言われ
そんな彼に
抗えるわけもなく
私は力なく左右に首を振った。
「良かった、じゃあ行こっか」
「……はい」
多分
赤いであろう顔のまま
彼の部屋を出て
地下にある駐車場まで手を繋ぎ歩いていく。
「あの、誠一さんはどうしてバス通勤をしてるんですか?」
車を
持っていて
なおかつ
次期社長となるような人が
わざわざ満員のバスに乗って
毎朝、通勤してた理由ってなんなんだろう……
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