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「奈央ちゃんがいたからだよ」
「え?」
「キミに最初に会った日は、たまたま天気も良かったし、なんとなくバスに乗ったんだ。そしたら検定のテキストを真剣な眼差しで見てるキミがいて……なぜか、そんなキミから目が離せなかった」
検定の
テキストって
私が秘書検定を受けるために
勉強していたのはたしか一年くらい前。
……え?
誠一さん、そんなにも前から
私の存在に気づき好きでいてくれてたんだ……
「あの時、海外で仕事しててやり甲斐を感じてた時に無理矢理日本に呼び戻されて、次期社長としてのノウハウや心得を教えられる毎日で何もかもが嫌な時期だった」
「……」
「所詮俺に自由なんてなくて、周りから言われた通りに動くしかできないんだって、自暴自棄になってた」
「……」
「だからなのか俺の目には、奈央ちゃんがすごく生き生きとして輝いて見えたんだ。自分のやりたいことに直向きに努力する奈央ちゃんの姿がね」
「そ、そんな、買い被りすぎですよ」
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