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「元気だった?」 まるで 私のことを 心配しているかのように 装いながらそう聞いてくる私の母。 けれど その言葉には 意味も気持ちも全くない。 「もうすぐ、梅雨がくるわねー」 「……なに?」 「えー?」 「そんな、もっともらしいこと言わないでいいから用件を言ってよ……」 こうして 母が私に会いに来る 理由なんてひとつしかない…… 「お金、貸してくれないかな?」 「……」 ほら……。 やっぱり 母は変わっていなかった。 .
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