バク

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バク

 僕は歯内(はがない)流・記憶喰い(きおくくらい)術の免許皆伝者だ。この術を去年秘伝書と共に父から譲り受けた。その父は今は行方不明である。  秘伝書の冒頭には以下の言葉が書かれている。 ──  脳内及び魂内に入り記憶を喰らえ、さすれば霊力が溜まりささやかな事象を起こす事ができるであろう。 ──  この冒頭を簡単に解説する。  世間一般では脳内に記憶が蓄積されていると思われているようだが、実際は魂内に蓄積されている。脳内にもある程度の期間記憶が残留しているが常に魂にバックアップされているのだ。  その脳内及び魂内の記憶を喰らうと霊力が溜まりささやかな魔法のような事象を起こす事ができるようになる。  ささやかな事象とは思い浮かべれるものなら何でもOKで、例えばユーラシア大陸全土を爆撃したいと念じればささやかな火球でユーラシア大陸の3分の1程度を火の海にできるかもしれない。  ここで疑問形なのはそんな事をやったことが無いからだ。またと言う言葉に基準が無く何をもってささやかなのかは知る由も無い。  そして大きな事象を起こすには大量の霊力が必要である。ユーラシア大陸の3分の1を火の海にすのにいかほどの霊力が必要なのかも知りはしない。
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