胸姫ちゃんの悪夢

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 僕はベットから降りて胸姫ちゃんをモーゼスの横に寝かせた。  彼女は傭兵なので普段から死体を見慣れているはずなのだが、どうやらクニャクニャになった死体を見ると過去の記憶が呼び覚まされて悪夢を見るようである。  その悪夢は幼少期の記憶に起因していてる。  胸姫ちゃんはレバノンのベイルート生まれで13歳の時に両親が殺されて天涯孤独となった。政情不安定なその国では子供が孤児になる事は普通の事であるようだ。  そんな孤児達を集めて兵士に仕立て上げる国の組織が有り、彼女も拉致同然にさらわれて組織の施設で殺しのテクニックを磨く日々を送っていた。  彼女が17歳の時、お遣い途中に空から組織の教官10数名が降って来て目の前で微妙に跳ねてクニャクニャになったらしい。その光景がトラウマとなり悪夢を見るようになったらと言う事だ。  因みにその組織の教官たちをヘリから突き落としたのは反政府ゲリラで、その後胸姫ちゃんと数人の見習い兵士はゲリラの拠点に連れて行かれ奴隷として売られる予定だった。  数日後ゲリラ殲滅作戦を決行していた叔父率いる傭兵団がゲリラの拠点を強襲、撃破し、胸姫ちゃんや見習い兵士は無事保護された。その時胸姫ちゃんは叔父の傭兵団に志願して入隊したらしい。
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