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「太腿でムギュっを長めでお願いするよ」
「分かった。死ぬくらいの極楽を見せてあげるわね」
「いや、マジでやると本当に死ぬから普通でいいよ」
「それじゃ大サービスにならないじゃない」
そんな予定調和のようなくだらない会話を終えた僕はビルの隙間道に飛び込んだサービス券を追いかけて拾いながら前に進んだ。
10数枚くらい拾っただろうか、目視で見える最後の1枚を膝を着いて拾うとサービス券の裏を伝って粘りのある赤い液体がテラ~っと流れ落ちた。
「血?」
その時ビルとビルの隙間で増幅された強風が僕の後ろから真横を吹き抜けて手に持っていた血の付いたサービス券を吹き飛ばした。その行方を目で追うと目線の先にセーラー服姿の異国の少女が血の海の上に立っていた。
なびく金髪巻毛が生き物のようにうごめいていて、僕が想像するゴーゴンもしくはメデューサのようである。
そして僕はその光景に見入ってしまった。
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