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数十秒経ったであろうか、気を取り戻すと胸姫ちゃんが僕の横に立っていて難しい顔をしている。
「わっ! いたんだ」
「ほら、足元を見てよ」
胸姫ちゃんが金髪巻き毛少女の足元を指差した。そこにはあらぬ方向に手足が曲がった赤いジャケットを着た死体が転がっていた。
「ねえ、バク君、アレって他殺、自殺どっち?」
「他殺みたいだよ」
「それって残留思念がそうだと言ってるの?」
「いやそうじゃなくて……」
「そうじゃ無いって何よ?」
「ほらドスが刺さってるよ」
「──確かにそうね」
「きっと刺された後にビルの上から落とされたんだよ」
「だからあんなに……」
胸姫ちゃんはス~っと前に出て血の溜まりを踏みながら金髪巻き毛少女に近寄った。
興味深いのは胸姫ちゃんが歩いた血の溜まりの上に足跡が残っていない事だ。抜き足、差し足、忍び足と言うが、これはその先に有る浮き足と言う技なのだろうと勝手に命名した。こう言うのを見せられるとさすが一流の傭兵だなと感心させられてしまう。
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