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元々誰かに無茶苦茶にされたかったのだ。それがあいつであることは想定外な上に、正気だったなら絶対にありえないシチュエーションなのだけど、既に馬鹿になった頭ではどうでもよかった。
激しく突かれることがただただ気持ちよく、オレは何度もねだって挿れてもらった。だからそいつもそれに応え、何度もオレの中で果てては体位を変えてまた挿入ってきた。
そしてオレたちは時間も忘れ、獣のように交わり続けた。
これがノベルやマンガだったならそのまま意識がフェードアウトして、起きたら朝で相手はまだ眠っているか、もう帰ってしまったか、とにかく一人で反省会になるところだが、これは生憎の現実。オレの意識は都合よく失わず、それまでの行為の内容も全て覚えている。
なんてことだ。
何度目かの射精のあと、そいつはゆっくりとオレの中から自身を引き抜くと、どろりと溢れ出てきたそれをティッシュで押さえた。またやるつもりならそんなことをしないだろう。オレの体力ももう限界で、最後は喘ぎ声すら出ずにされるがままだった。
だからもう終わりなのだろうと思ったけれど、途端に流れる気まずい空気。
もう半勃ちにすらならない萎えたぶつをぶら下げながら、オレのあそこを押さえるそいつは、トロトロ出続けるそれに手を離せない。そりゃそうだ。こんなビジホにエッチなグッズがあるはずもなく、生で何度も中出ししたのだ。容量は既にいっぱい。オーバーもいいところだ。
性欲が去り、そいつも正気に戻ったのだろう。先程までの怖い顔はすっかりいつもの顔になり、この状況におどおどしている。すると不思議なもので、オレの方はものすごく冷静になる。オレはどうすることも出来ず前を出しままそこを押されるそいつの手をどけ、自分で押さえた。するとそいつはオレを見て、後始末を始めた。
オレもそいつも無言なのが笑える。
これが所謂賢者タイムなのか?
2人とも妙に冷静にてきぱきとそこを片付け始める。といってもオレの体力は限界を超え、ベッドに横になったままだ。
それにしても止まらないな。
少し動いただけでも出てくるそれに、嫌気がさす。するとあいつがオレを見てきたから、オレは無言でバスルームに視線を向けた。その意図が分かったのか、そいつはいそいそとバスルームへと入って行った。
こんなんじゃ埒が明かない。
そう思ってシャワーで流そうと思ったけれど、本当に身体が全く動かない。だから湯張りから戻ってきたそいつにオレは両手を向けて連れていくように指示する。するとそいつは一瞬躊躇するものの、オレが無言の圧をかけると怖々とオレを抱き上げ、バスルームへと連れていった。そしてまだ湯が溜まっていないバスタブを前に、そいつはオレの顔を見る
まあ、まだだと思ったけど洗いながら溜めればいい。
そう思ってオレは頷きバスタブの中に下ろしてもらうと、そいつにしっしと手を振った。後処理なんて見られたくないに決まってる。
出ていくあいつの後ろ姿を見ながら、オレはようやく身体の力を抜いて息を吐いた。
本当になんなんだ。
ついさっきまで起こっていたことが、あまりの有り得なさに現実味がない。だってそうだろ?そもそもあいつに会うのだって、あの卒業式以来なのだ。その何十年振りかの再会も望んだものでは無い。なのに会って、連れて来られて、そして・・・。
何がどうなって、こんなことになったんだ?
オレが怒るのは当たり前だよな?
あんな別れ方をして、一方的に連れてこられたんだから。でもあいつはなんであんなに怒ったんだろう。
オレは怒って今までの鬱憤をぶちまけて、それで帰ろうとしたのに、なぜかあいつも怒ってあんなことになってしまった。まあオレも、途中から理性が吹っ飛んで止められなかったけど、あいつは最初から暴走してたよな。
オレ、なにかあいつの地雷を踏んだのだろうか。
今でも思い出すと怖くなるあいつの顔。
あんな怖い顔も声も初めてだ。
そんなことを考えながら、オレはだるい身体にむち打ってどうにか後処理を済ませ、よろよろと部屋に戻る。ここが狭いビジホで助かった。
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