090距離

1/1
前へ
/91ページ
次へ

090距離

彼は休みの日であれば 病院にも着いてきてくれた 心配なのだろう 会いたいと思ってくれているのだろう 嬉しい でも私は いつもいつも一緒だと 息が詰まってきてしまう 彼も 無理に会いたい会いたいと 依存するように 言ってくるわけではない 私が過剰に反応しているだけ 彼に求められていると 私が過剰に思っているだけ それは解ってはいる でも私は過剰反応し 徐々に心が辛くなってきていた そして営業電話の件から数日後 彼は仕事だったが 私は知り合いとの食事を予定し それを彼に伝えていた 彼は「わかった呑み過ぎないようにね」 と送り出してくれた 帰宅後 彼に電話で何気ない話をしていた 特に言おうと 思ったわけではない 逆に隠そうと 思ったわけでもない 話の中で言っただけだった 私の言葉を聞いて 彼の眉間にシワが寄る 「知り合いって言ってなかった?客なの?」 この客は実は キャバ嬢時代から よく来てくれている客だ もちろん彼の疑うような関係ではない 今の仕事で来てくれているのも 実際にはそういった行為は 今まで一切したことがない クリーンな関係だ 今もキャバ嬢と客として 良好な関係が続いている ただそれだけだ そんな客だから 私にとっては 客というよりも知人だ もちろん仕事外で ただ知人として食事に行った 私にとっては ただそれだけだ
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加