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ピピピピピッ─
もぞっと動いて音の原因を引き寄せればスマホで、五時のアラームが鳴っている。起き上がろうとしたが腹をガッチリ背後から抱きしめられていてすよすよと寝息が聞こえてくる。
泊まるのは良いけど朝五時に起こせって言ったよな俺…とりあえず尻に当たる硬いものをなんとかして欲しいが、とりあえず起こさないと港に行けない。
腰も重いし痛いが余韻に浸っている暇は今は無い。無理矢理引き剥がして服や下着を拾い集め、昨日履いた下着を履くのは躊躇われたが新しい物を持ってきてないので仕方なく履いて玄関から出て鍵をかけていれば自転車のブレーキ音が聞こえて振り返る。
「おはよ」
「何で医者の家から出てきたんだ?」
黒瀬が訝しげな目でこちらを見ている。まさか三嶋と初めてセックスしたからお泊まりしましたなんて言える訳もなく、どうした物かと悩んでしまう。
「あの医者と寝たのか」
いつの間にか傍に来ていた黒瀬に腕を掴まれて首元の匂いを嗅がれた。だとしても黒瀬には関係ないだろ…別に犯罪ではないし…
「だとしても関係ないだろ…離してくれそろそろ港に行かないと」
「あいつが好きなのか?」
「別に…そんなんじゃねーよ」
「じゃあ好きでも無い奴とセックスするのか」
「はぁ…どうしたんだよ…俺が他人とすると黒瀬に迷惑かけるのか」
俺の言葉に言葉を詰まらせ手を離してくれた。首を撫でながらまたため息をつけば、黒瀬は何かを言いかけたが止めて顔を逸らした。
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