21人が本棚に入れています
本棚に追加
なんなんだよと思いながらもハッとして黒瀬に別れを告げ家に帰りシャワーを浴びて着替え、ぐうと腹が鳴るので先に店に寄り惣菜パンを後払いにして食べながら港へ向かう。店の開店準備をしてからパンの会計を済ませていれば自動ドアに張り付く物がある。いや…者…だな。
三嶋がぴすぴす泣きながらびったり張り付いていて、俺は自動ドアの電源を入れれば開いて三嶋が飛び込んできた。
「酷いじゃないですか!朝起きたら居なくて僕っ、僕昨日の事が夢だったんじゃないかとぉぉおお…!」
「五時に起こせって言ったよな」
腕を組みながら言えばグッと押し黙る。そのまま腕を組みながら見ていればじりじりと下がってゆき、土下座をされてしまった。
「ごめんなさい僕が悪」
「やめろ馬鹿っ!」
前を通る人達に何事かと見られ、俺は腕を掴んで引き起こす。また捨てられた子犬の様な目で見られ、片手で顔を覆ってため息をついてしまった。俺がこの顔に弱いってわかっててやってないか?
見ていれば人差し指を合わせてもじもじとしていて、何をしてるのかと見ていれば意を決したように口を開いた。
「いってきますいってらっしゃいのキス…」
「ねーよ仕事行け」
「じゃ、じゃあ康介頑張れって言ってください…」
「言われなくても頑張れよ」
「うぅぅぅうう…行ってきます…」
呆れながら言えばすごすごと行き、俺はため息をついてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!