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今日も一日平和に過ごし、閉店してから夜道を歩いていたが診療所の電気がまだついていたので足を止めて扉を見つめた。
まだやってるのかと中へ入ってみれば待合室でばあさんが椅子に座っていて、三嶋がしゃがんで微笑みかけながら話している。ばあさんの目は恋する乙女そのもので…
「おや陽太ちゃん」
「こんばんは」
ばあさんが俺に気付いてこちらを見て、三嶋はぱぁと嬉しそうに目を輝かせている。
「ちょっと聞いてよ陽太ちゃん。先生ったら良い事あったのかウキウキのくせに何があったか教えてくれないのよ陽太ちゃんからも聞いてよ」
「ばあさんほらもう診てもらったなら帰らねーと。外真っ暗だぞ」
「あらやだ。じゃあ先生、陽太ちゃん、またね」
ばあさんは懐中電灯を懐から出して電気をつけて歩いて夜の闇へと消えていく。見送ってから三嶋を見れば、幸せそうに俺を見ているが眉間にシワを寄せればハッとした。
「しゃ、喋ってませんから!!」
「何も言ってねーよ」
俺が怒ってるとでも思ったのか慌てて言ってくる。いやなんでそんな幸せそうなんだよと思っただけで…ため息をついてチラと三嶋を見ればソワソワしている…これは期待してるな?
「キスはしないから」
「何でですか!?僕お仕事頑張っ」
「俺とキスしなきゃ頑張れない仕事なら辞めたらどうだ?」
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