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飛び散る水滴が光に反射してキラキラと輝く。晴れ渡る青空の下、真新しい校舎が映し出され、撒かれた雫が世界を輝かせていた。制服を来た若い男女が眩しい笑顔で軽やかに廊下を走り抜けていく。とある清涼飲料水のCMがたまたまテレビに映ったこの一分にも満たない瞬間、私の心臓は張り裂けそうになり、過呼吸に陥った。
脳裏に浮かぶのは古びた校舎、その廊下の端に例の教室はあって、どろりとした感覚に今度は吐きそうになった。光り輝く青春の1ページを描いたようなCMに体が、心が、私の全てが拒絶を示す。無理矢理引っ張り出されたかつての記憶は、透き通って美しく宝石のように輝いて見えたCMとは全く違う世界の出来事だった。だからだろう。私の中には一瞬、激しい憎悪が生まれた。あの日、あの瞬間、あの場所にいた奴らを散々苦しめた上で皆殺しにしてやりたい……。けれど、そう考えた次の瞬間には、全てを忘れていた。身体の防衛反応が、記憶を焼き切る形で私を守ろうとしたのだ。じっとりとした汗と嫌な感覚が残ったが、それがどうしてだったか、もう思い出す事は出来なかった。いつの間にか、過呼吸も収まって、テレビではおっさんが美味そうに飲むビールのCMが流れていた。
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続きをのんびり考え中です☆
続けられるといいな……(遠い目)
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