何処に行きます?

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何処に行きます?

 その春の笑顔に一瞬、動きを止めてしまうゴー。まだ言えないけど、実はゴーは春の笑顔が好きだ。きっと男からそんなことを言われたら、きっと気持ち悪いと思う。だからそのことは隠し、再び春の手首を取り、今さっき送ってもらったマネージャーの車へと急ぐのだ。  マネージャーの車に乗り込むと、ゴーは助手席に座るが、今日は春の腕を引いて後部座席に座る。  やはり人気がある歌手なのであろう。車にはスモークが貼ってあった。きっと外からは中の様子は見にくいが、車からは多少は外の様子が見えるようになっているのだから。  街中を歩く人々。明るいネオン。東京という街は本当に二十四時間眠らない街だ。春が育った街は夜になると静かで、街灯がチラホラとついている程度。夜道を歩くのは危険だが、夜には星が綺麗に見える。  そういう時こそ、地球に生まれて来て良かったと思う。  都会での暮らしは確かに大変だけど、田舎暮らしでは味わえないものがある。  春はそんな街中を車の中から眺めるのだった。 「ね、春さん! 何処に行くんですか?」 「……え?」  ボーっと外を眺めていたら、いきなり隣にいるゴーに声をかけられる。 「だから、クスクス……春さんって案外、真面目そうに見えて何処か抜けてますよね? 今日は春さんのお勧めの場所に行くんでしょ? 場所がわからないとその場所に行けませんよー」 「あー、あー……」  そうだ。本当に今日の春は抜けていると自覚しているのかもしれない。  春はゴーのマネージャーに行き先を告げると、再びイスに寄りかかるのだ。
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