二人だけの時間

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二人だけの時間

 スタジオ内は広く、たくさんのアーティストたちが利用するのであろう。この場所は録音の場所としても使えるが、練習場としても使えるスタジオだ。内装はカラオケボックスのように部屋があり、各部屋は防音設備がしっかりしているため、音がまったく外に漏れないようになっている。そして、入口のドアは頑丈にできているためか厚くて重い。部屋内はカラオケ屋とは比べものにならないくらい広い。二人でこれだけ広い部屋を使っていいのかと思うほどだ。  だが、ここまで二人で来れたのはいい。歌の練習をどうしたらいいか分からないのが、今の春の本音だ。  部屋に入った二人は持っていた荷物をテーブルの上に置く。 「どうする?」 「どうする? って?」 「何を教えたらいいか分からないんだけどー。だって、ゴー君だって、ボイストレーニングとか知ってるでしょ?」 「まぁ、一応、基礎はできてますよ」 「まぁ、いいやぁ、まずは自分たちが普段やっているトレーニングからやろうか?」  二人はそれぞれのトレーニング法からやり始める。二人とも教わったのは別の人間。それぞれやり方は違う。だが、自分がやり慣れている方が楽だと思う春。  しばらくして、それぞれのトレーニングをやり終える。 「特に僕が君に教えることはないみたいだよ」  と言う春。 「じゃ、どうするんですか?」  とりあえず二時間は予約してしまったスタジオ。何かもったいないような気がする。ならばスタジオなんて借りずにカラオケにでも行けば良かったのだろうか。  二人はぼーっとスタジオの真ん中で何か策がないかと考える。二人ともボーカル。弾けるのはギターだけ。そのギターは今日は持って来ていない。
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