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二人だけのドキドキの時間
この静かな空間に二人だけ。今までレッスンとかなんとか言って、春は自分のことを誤魔化すことができたけど、この静かな空間では二人だけで意識してしまい、鼓動が徐々に高鳴り始めているのかもしれない。
鼓動は確かに自分にしか聞こえていないのだが、この静かな空間では隣にいるゴーに聞こえてしまうのではないかと思ってしまう。
もう何度も体験してきた胸の鼓動。明らかに恋をしているのは自分でもわかっている。それに効く薬がないというけど、それは自分から好きな相手に告白をすれば治まることは知っていることだ。
じゃあ、なぜ自分はそのことについて治める方法を知っているのにもかかわらず、告白をすることができないのだろうか。
それは自分には勇気がないから。女性にも告白することさえ、なかなかできないのに、男になんてもっとできるわけがない。もし告白をして断られる確率の方が高いに決まっている。
だけど、もし芸能人じゃなかったら、ゴーとこんなに近づくことはできなかっただろう。
それはそれでいいことなんじゃないだろうか。
そんなことが春の頭の中をぐるぐると巡り、頭を抱えてしまう。
その様子に気付いた春の隣にいるゴー。
「どうしたんですか? さっきから春さん、ため息ばっかついてるみたいですけどー」
何も考えてなさそうなゴーは無邪気な笑顔で春のことを見上げてくる。
「あ、いや……何でもない……」
そう言って春はバレないようになのか頭を振るのだ。
「何でもないんですか? 何でもない顔はしてませんよ」
その言葉に図星という言葉が一番似合いそうだ。春の鼓動は更に高鳴ってしまうだろう。こんなことではいくつ心臓があっても足りないくらいだ。
「大丈夫だから……心配しないで平気だよ」
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