メールアドレス交換がしたい

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メールアドレス交換がしたい

 春はせめてゴーのメールアドレスを聞きたいと思ったのだが、今日初めて会った人にいきなり聞くのは失礼だと考え、やはり聞けないでいるようだ。  それだけ春という人物は、控えめなタイプなのかもしれない。寧ろ女性に対してもそんなに積極的ではなく、待っているタイプの春。  楽屋に戻っても、他のメンバー二人は何やら楽しく会話をしているが、春の気持ちはメンバーと話をしている場合ではないようで、今日は何だか不思議とイライラしていた。そう、足を無意識に貧乏揺すりまでさせているのだから。きっと自分にイライラしているのだろう。そう、好きになっても告白できない自分に。  そんな時、楽屋のドアをノックする音が春がいる所まで聞こえてきた。誰かがこの楽屋に訪れてきたようだ。  会話をしていたメンバー二人も春もその音に反応して、ノックされたドアへと視線を向けていた。 「スイマセン。先程は番組に出てくださって、ありがとうございました」  そう言って入ってきたのは、今日の番組の司会者であった二人だった。  春にとっては意外な展開で、また鼓動が高鳴っているのかもしれない。人間というのは好きな人ができると、その人を見る度に胸の鼓動が早くなってしまうのだから。  春のメンバーとゴーのメンバーが楽屋の真ん中にあるテーブルへと集まり、雑談を始める。  ゴーは司会をしているだけあって、よく話をするようだ。人との会話には慣れているようで、楽しそうに話をしてくる。春とは正反対な性格の持ち主なのかもしれない。ある意味、ゴーは春にとって憧れということだろう。  そんなゴーに春は一目惚れしたのだ。案外、好きになる人というのは自分とは性格が正反対の人を選んでしまうものなのだろうか。  そして話をしていくにつれ、ゴーが提案してくる。 「春さん、僕は前から憧れでした。その……良かったらメル友になりませんか?」
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