久々の歌番組に出演

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久々の歌番組に出演

 今日は久しぶりにテレビ出演することになった春(しゅん)。  春は歌手だが、最近は多くの新しい歌手が次々と登場し、人気が低迷していたこの時期に、久しぶりのテレビ出演だった。  春のグループバンドも、今時あまり見かけないが、今年で十年目。一時期は人気があったものの、最近はCDを出すのがやっとの状態の春のグループ『ZERO』。  それでもまだファンがいるので、解散はできない。自分たちもまだまだやっていくつもりだから。  本当に今日は久しぶりのテレビ出演。春は他のグループメンバーを引き連れて、挨拶回りのために本日出演する歌手たちの楽屋を回り始める。  次々と挨拶を済ませ、最後に本日、司会を務めるデュエット歌手二人の楽屋へと入っていくZEROのメンバー。 「どうも、はじめまして、ZEROの春です。今日はよろしくお願いしますね」  そう笑顔で今日の司会者であるデュエット歌手に握手を求める春。 「どうも、はじめまして。僕が憧れの人が僕の番組に出演してくれて嬉しいですよ」  ゴーの方も立ち上がり、そこで二人は握手を交わす。  春と同じくらいの背のゴー。ゴーが立ち上がったことで、自然と目線が合う。  さすがは有名なデュエット歌手として活動しているだけあって、綺麗な顔立ちに、笑顔が素敵なゴーだ。その素敵な笑顔に、春は思わず引き込まれ、言葉を失ってしまう。 「今日は一緒に楽しみましょうね」  ゴーのその言葉に、春の心臓が不意にときめく。これが恋愛の歌詞で描かれるような、運命的な出会いなのだろうかと、思わず胸が高鳴る。 「では、本日はよろしくお願いしますね」  そうゴーは笑顔で口にするのだった。
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