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ドラキュラのリモコン
「……アチぃ」
汗だくになって目が覚めた。
最近地球が暑すぎる。あの凶悪な太陽、沈んでいても暑いし、顔を出した瞬間殺しにくるように暑い。
「なぁ、薫。クーラー」
汗でベタベタの体でくっつきたくなくて、薫の体をかかとで小突いた。
蒸し風呂みたいな部屋の中で、薫は薄いタオルケットを胸元までかけ、ドラキュラみたいなきれいな仰向けで眠っている。
だがよく見れば、その首筋には丸い汗の粒が。
「我慢してねぇでクーラー付ければいいじゃん。このままだと死ぬぞ」
机の上に置かれたリモコンに手を伸ばすと、エイト!と怒鳴りつけられた。
俺の名前は永人だが、薫が呼ぶとなぜかカタカナに聞こえる。
「……朝は7時に『入』になるようにタイマーがかけてある」
「あと5分で7時だけど」
「じゃあ待て」
「無理」
もう一度タイマーに手を伸ばすと、無駄に長い薫の脚に挟まれ動きを封じられた。
「あンだよ! 熱中症で人は死ぬんだぞ!」
「7時にタイマーが入る」
「何でお前のタイマーに従わねぇといけねぇの! 客人をもっともてなせよ!」
無理やりリモコンを奪うと、薫もガバっと起き上がりリモコンの奪い合いになった。
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