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「文化祭ってめちゃ楽しいな。一ヶ月くらいやってたくね?」
「そうか? 3日目にはたこ焼き見るのも嫌になるぞ」
「たしかにそれは言える。文化祭ってゆーか、ただ遊んでたいだけだわ」
「それには激しく同意する」
1年8組は廊下の端っこ。みんなで気合い入れて作った腕相撲の形の張りぼてが廊下にでーんと待ち構えている。
その下をくぐって教室に入ろうとした瞬間、ガバっと薫に抱きかかえられ後ろに引き戻された。
「――ンなっ!?」
張りぼての影に隠れ、シッ!と耳元で薫が指を立てる。
(――どしたの!?)
ぱくぱくと無音で口を動かすと、薫が教室の中に目配せをした。
廊下の床に手をついて、ふたりでそっと教室を覗き込んだ。
もう誰もいないはずの教室に、男女の話し声。
じっと耳を澄ますと――――どうやらマツケンとまれちゃんである!
(なななんと、噂の――!)
盗み聞き了解、と薫に視線で合図をし、ふたりで耳をそば立てた。
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