ドラキュラのリモコン

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「エアコンが直るまでリモコンの使用権をお前に譲る。ファイナルアンサーだ」 「……マジで! やればできんじゃん!」  どういう風の吹き回しか、王様から特別許可が下りた。モテないと言ってやったのが心に響いたのだろうか。 「じゃあ今夜もよろしくな! 命が助かるわ!」  ベランダの柵によじ登り、排水管を掴んで自分ちのベランダに飛び移った。振り返ると、凶悪な朝日の中で薫が俺を見送っている。 「エイト。絶対に落ちるなよ」 「平気。俺、身軽だから」  部屋の窓を開けて中に入ろうとすると、またエイトと呼びかけられた。クソアチぃってのに本当に去り際がしつこい。 「何だよ!」 「棺桶には、俺が入ってやってもいいぞ」 (???)  頭にはてなマークが浮かんでいるうちに薫は部屋に戻って行った。  どゆこと? お前マジでドラキュラなの?
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