蒼穹の麗かな午後

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「多少の大きさの違いは仕方ないと思われますが」  部下の一人が率直な意見を述べると、少年は頭を傾けた。結った金の髪が一緒に揺れて、はたから見ればひどく可愛らしい仕草に思える。だが、意見をした部下は緊張していて、そんな風に感じる余裕はなかった。 「いや、いかに均一に分けるかが大切だ」  少年の答えを受けて、しばしその場に沈黙が流れた。ややしてもう一人の部下が恐る恐るといった様子で少年に別の提案をする。 「数式を使われていかがでしょうか? 均一になります」  その言葉にも少年は首を横に振って納得しなかった。 「それでは美しくないだろう? 数式を使って切り分けたパイが美味とは思えない」  少年は四人全員からアイディアを聞くつもりらしく、まだ答えていない二人の顔をちらりと見る。視線を受けた二人は顔を見合わせて考えこんだ。しばらくすると一人がなにかを思いついたのか口を開く。 「我々の分は、御前試合で決めるというのは……」 「食べるまでに何時間かかるのだ?」  にべもなく却下された苦し紛れの意見に、ただ一人意見を出していない部下が頭を抱えた。  たかだかパイを切り分けるだけのことでこんなにも時間を費やしている。四人の部下は内心で「今はそれどころではなく、急ぎの報告があるのです!」と毒づきたい気持ちだった。かろうじてその言葉を飲み込み、主が気分よく自分たちとパイを食べられる方法を模索し続ける。
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