3人が本棚に入れています
本棚に追加
初出勤
「今日から1ヶ月間、よろしくお願いします!」
淡いクリーム色のシンプルなスーツを来た華の姿に、部署内の人から拍手と笑顔が溢れた。
理久の部署は、全員で6人。
部長の井上敏也は、50代の紳士な雰囲気。
その下に理久。
理久と同期で同じ年の川瀬衛は、モテそうだけど、少し軽そうな人だ。
理久より1つ年下の木下健太と柳美咲は、
同期だからか、初めての挨拶の時からノリツッコミのような会話をしていた。
一番年下の足立愛美は、華と同じ年だ。
初めての挨拶の後、
「美咲さんって呼んでね!よろしくね、華ちゃん♪」
そう言って微笑む美咲の横で、
「美咲さんが名前で呼んでもらうなら、私も名前がいいです!愛美って呼んでね!華ちゃん♪」
と、愛美が可愛らしい笑顔で華に笑いかけると、華も、
「美咲さん、愛美ちゃん、よろしくお願いします」
そう言って、微笑んで頭を下げた。
そんなやり取りを見ていた川瀬が、
「じゃあ、俺も衛くんって呼んで〜」
と、華に問いかけると、返す言葉に躊躇う華の困った顔を見て、
「川瀬と木下は、会長の許可が得られたらな」
と、理久が言葉を返すと、
「絶対、言えね〜」
と、天井を見て呟く川瀬に、
「先輩、ドンマイです」
と言って、川瀬の肩を叩く木下。
「お前もだろ…」
と、嘆くように呟く川瀬に、
「でも、楽しい部署になりそうですね」
そう笑う木下のそばに理久が近寄り、小さな低い声で、
「仕事以外で華に近づくなよ」
と呟くと、木下は引きつり笑いをしながら、
「イヤだなぁ〜、部内って言ったじゃないですか。心配しないでくださいよ〜」
と、理久に答えると、理久はジロッと木下をみた後、そっぽを向いた。
その様子を見て、
「あいつさぁ…、言わないけど、認めないだろうけど、絶対華ちゃんが好きだよな…」
と、川瀬が木下に耳打ちすると、
「ですよね…。絶対認めないと思いますけど、確実に好きですよね…。見た感じ、課長の片思い…ですよね?」
木下の小さな声に、川瀬も頷きながら、
「やべぇ、この後の展開、楽しみだわ」
と、ニヤリとした。
そんな川瀬に、木下も同じような笑みを浮かべながら、
「マジ、俺も楽しみです」
そう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!