初出勤

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初出勤

「今日から1ヶ月間、よろしくお願いします!」  淡いクリーム色のシンプルなスーツを来た華の姿に、部署内の人から拍手と笑顔が溢れた。  理久の部署は、全員で6人。  部長の井上敏也(いのうえ としや)は、50代の紳士な雰囲気。  その下に理久。  理久と同期で同じ年の川瀬衛(かわせ まもる)は、モテそうだけど、少し軽そうな人だ。  理久より1つ年下の木下健太(きのした けんた)柳美咲(やなぎ みさき)は、 同期だからか、初めての挨拶の時からノリツッコミのような会話をしていた。  一番年下の足立愛美(あだち まなみ)は、華と同じ年だ。  初めての挨拶の後、 「美咲さんって呼んでね!よろしくね、華ちゃん♪」  そう言って微笑む美咲の横で、 「美咲さんが名前で呼んでもらうなら、私も名前がいいです!愛美って呼んでね!華ちゃん♪」  と、愛美が可愛らしい笑顔で華に笑いかけると、華も、 「美咲さん、愛美ちゃん、よろしくお願いします」  そう言って、微笑んで頭を下げた。  そんなやり取りを見ていた川瀬が、 「じゃあ、俺も衛くんって呼んで〜」  と、華に問いかけると、返す言葉に躊躇う華の困った顔を見て、 「川瀬と木下は、会長の許可が得られたらな」 と、理久が言葉を返すと、 「絶対、言えね〜」  と、天井を見て呟く川瀬に、 「先輩、ドンマイです」  と言って、川瀬の肩を叩く木下。 「お前もだろ…」 と、嘆くように呟く川瀬に、 「でも、楽しい部署になりそうですね」 そう笑う木下のそばに理久が近寄り、小さな低い声で、 「仕事以外で華に近づくなよ」 と呟くと、木下は引きつり笑いをしながら、 「イヤだなぁ〜、部内って言ったじゃないですか。心配しないでくださいよ〜」  と、理久に答えると、理久はジロッと木下をみた後、そっぽを向いた。  その様子を見て、 「あいつさぁ…、言わないけど、認めないだろうけど、絶対華ちゃんが好きだよな…」  と、川瀬が木下に耳打ちすると、 「ですよね…。絶対認めないと思いますけど、確実に好きですよね…。見た感じ、課長の片思い…ですよね?」  木下の小さな声に、川瀬も頷きながら、 「やべぇ、この後の展開、楽しみだわ」  と、ニヤリとした。  そんな川瀬に、木下も同じような笑みを浮かべながら、 「マジ、俺も楽しみです」 そう答えた。
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