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華のお願い
理久と華の二人だけのタクシーの中、目を閉じて休んでいる理久に、言いづらそうに華が声をかけた。
「あのね…、お願いがあるんだけど…」
「…あぁ」
「あのね…、…、」
「…なに?」
「りっくんの部屋に泊めてもらえない…かな」
「…は?」
「だから、ホテルじゃなくて、りっくんの部屋に…」
そう話す華の顔を、閉じていた目を開いて見つめる理久。
「あのね、怖くないよ。怖くはないんだけどね、なんかね、ちょっとね…」
と早口で話す華を見て、まだ怖い気持ちがある事に気付いた理久。
そんな不安そうな華を一人には出来ない…
理久も華を一人でホテルに帰したくない思いが込み上げた。
「じゃあ、俺の部屋に行くか。あっ、ホテルに荷物は取りに行こうか」
そう言ってホテルへと二人で向かった。
『明後日までだし、このままうちに泊まらせるか…』
そう思った理久は、ホテルに着くとそのままチェックアウトの手続きをした。
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