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理久の部屋
理久の部屋は、キッチンとリビングダイニングのある12畳の部屋と寝室と水回りがある部屋だ。
戻ってすぐに、華をお風呂へと連れて行き、理久は寝室のシーツを変えて華が寝るための準備をした。
お風呂から出たパジャマ姿の華に、理久はドキドキしながらもその動揺がバレないように、
「俺も風呂入るから、ベッド使って。俺はソファで寝るからさ」
そう伝えて急いで洗面所へと向かった。
洗面所の前、鏡を見ながら、
『落ち着け…、落ち着け、俺。華は妹、華は妹…』
何度も繰り返して、気持ちを落ち着かせていた。
お風呂から出た理久は、ソファに座る華をみて、足を止めた。
「え?寝ないの?」
寝ていて欲しかった気持ちが溢れ出て、少し落胆した声になってしまった。
「ごめんなさい!でも、住んでる人より先に寝るなんて、なんか申し訳なくて…」
そう答える華に、
「わかったよ。でも、もう遅いからベッドで寝な」
そう話す理久に、
「それとね…、それとね…、お願いが…」
と、言いづらそうな華。
今度はなんだよ…と思いながら、
「何?」
と、理久が問いかけると、
「隣で寝てほしいな…って」
と、華が答えた。
「は?」
思わず、理久は驚いた顔で華を見つめた。
「迷惑だよね。困るよね。でもね、一人だとなんか目を瞑るとさっきのを思い出しちゃいそうで…」
と、華が言った後、
「あっ、りっくんが嫌がることはしないから!」
と、言葉を続けた。
『いやいや、それ、俺が言うセリフ…』
そう頭の中でぼやいた後、
「わかった。華が寝るまでな」
諦めた気持ちで理久が答えると、華は嬉しそうに頷いた。
理久のベッドは、一人でゆったり寝れるようにダブルベッドだ。
一人でなら広いベッドも、二人だと相手の息遣いが近い。
『はぁ…。ベッド、サイズ、もっと大きいのにしとけばよかった…』
そんな事を頭に浮かべながら、華の隣に寝転がり、目を閉じて華が眠るのを待つ理久。
すると、華が理久の腕を掴んで自分の頬を近づけた。
「え?は?なに?なに?」
慌てる理久に、
「…この腕…、お母さんと同じくらい安心する…」
母のさくらの事を思い出しながら、安心する気持ちになり、そう呟く華に言葉を返せない理久。
「何もしないから、このまま…、お願い…」
そう言いながら眠り込む華。
『まじか…』
頭の中で、呟いた理久。
『落ち着け、落ち着け、華は妹。華は妹…』
何度も頭の中で繰り返していた。
そして、ぐっすり眠る華と眠れない理久の夜は朝を迎えた。
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