理久と華の嬉しいこと

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理久と華の嬉しいこと

 明日で華が会社から去る。  今日を越せば…理久は使命感に包まれていた。  今日も昨日のような拷問みたいな夜になるのだろうか…。  そんな不安を抱えながら仕事をしていると、珍しく仕事中に十蔵から電話が来た。  出てみると、華をまだしばらくこちらで面倒をみろという事だった。  理久は、華がここ残る事は嬉しかった。  でも、眠れない日々が続くのは、無理だと思った。  『華を足立か柳の家に泊めてもらえるか頼もうか…』  そう頭の中で考えたけれど、 『いや、待て。もしだめだった場合、家に来るとかって案を知られたら…、マズイか…』  変に誤解されたら華が困る事を考えると、頼むのも頼みづらい。 『でも、同じベッドは、もう勘弁だよな…』  その思いは強かった。  『よし!こうなったら近くの店で布団買ってベッドの下の床で俺が寝るか』  その答えにたどり着いた理久は、少し早めに仕事を終わらせて、華に先に部屋に帰るよう伝えて近くにある布団を買えそうなお店へと向かった。  一方の華は、美咲と愛美と夕食を食べて帰ることにしていた。  食事中、 「昨日は大丈夫だった?」 そう聞く美咲に頷くと、 「でも、あの後一人って怖かったよね〜?」 との愛美の問い掛けに、 「そうなんです…。一人はやっぱり怖くて…、無理でした…」 と、答えた華。  美咲と愛美が目を合わせる。 「…え?一人じゃなかったの?誰かと…、いたの?」  探るような美咲の問い掛けに、 「課長の、りっくんが、一緒に寝てくれたんです。迷惑だったと思うけど、どうしても怖くて…」  と華が答えると、さらに目を丸くして美咲と愛美は見つめ合った。 「え?課長と同じベッドで、寝たの…?」 「二人って、恋人とか…?」  美咲と愛美が続けて問いかけると、 「りっくんは、家族みたいな感じだからなんですかねぇ…、なんか、お母さんと同じくらい安心するみたいで」  そう笑う華に、言葉を返せない美咲と愛美。 「華ちゃんってさ…、今まで好きな人とか、いたりするの?お付き合いした相手とか…」  美咲が問いかけると、 「ん〜、お付き合いは、無いですね。好きな人は…どうだろう…。でも、りっくんより好きな人じゃないとお付き合いは無理かもしれないです…」  と考えながら話す華に、美咲と愛美は、目を合わせた。 『華ちゃんが自分の気持ちに気づいて、課長と幸せになってくれたらいいなぁ』  そんな風に思いながら、美咲と愛美は目を合わせていた。  華は、そんな二人を見ながら、美咲と愛美と三人でご飯が食べられる事、部署にまだいていいと話があった事、それらが心から嬉しくて舞い上がっていた。
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