十蔵という人

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 佐々木家からは、車で高速道路を使っても3時間かかる距離にある成田家。  十蔵は、さくら親子が居づらくなる事を心配して、 『遠いから来るのは、正月だけでいいぞ』  と、香菜に話していた。  香菜は、十蔵だけでは無く、さくらと華に会えることも楽しみにしていて、香菜とさくらは姉妹のような関係を築いていった。  医者をしている淳と看護婦の香菜は、大学病院に勤めていた頃は、数ヶ月に一度は家族で顔を見せてくれていたけれど、淳が開業医になってからは、忙しいせいか、半年に一度位で十蔵に会いに来るようになった。  その頃から、香菜ではなく、一人息子の理久(りく)が母親の代わりにと、一人で佐々木家に来て、顔を見せるようになっていた。
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