詩  泡沫(うたかた)

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生まれ出る泡 一つ一つ異なりし泡 其は 透き通り 濁る玉 其は 鮮やかな 汚る玉 泡は重なり積もりゆく 溢れようとも 割れようとも 何時も 何度も繰り返し 泡は生まれ 泡は死にゆく 嗚呼 夢よ 泡を留めて如何にせん 人の意識は泡となり 重なり積もりて繋がらん しかして割れては水となり 沈み濁りて殿むのみ 其は ヒトの記憶 其は ヒトの歴史 其は 存在証明 嗚呼 海よ 泡は何を映すのか それは沫が放つ光 一つ一つが輝き示すは 個々の希み それは水底で蠢く闇 願いの眠る海深く 人たらんと欲す業 嗚呼 神よ 泡を集めて如何にせん ヒトを何処へ誘うか 泡は生まれ 泡は死にゆく 繰り返し 何度となく 生まれ 割れ 沈みゆく 留まろうとも 何処へ行くとも 営みあらば 泡は在る 唯 産まれ  唯 消ゆる 唯 混ざり  唯 流れる 其は 夢現 其は 存在理由 泡よ 泡沫よ 願わくば 永遠に廻り給え 【終】
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