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「犯人がわかった。そして、この密室の秘密もね」
「本当か!?駿!!」
僕はニヤリと自信ありげに微笑む友人を、尊敬の目で見ながら叫んだ。
花村駿は、天才大学生である。大学生ながら警察に頼まれて次々難事件を解決している、僕の自慢の友人である。
ただ、なぜか駿と一緒に遠出するたびに殺人事件に遭遇してしまうのいう謎の運命があるのだが……。
今回も、偶然訪れた山奥のペンションで殺人事件が起きてしまった。
それも、こんなにも電波基地が充実していてどんな山奥ですら電波が届いているというこのご時世に、スマホの電波が届かないという最強の山奥である。
勿論橋は壊された。そう、もちろん簡単に人間が壊せるレベルの橋である。
誰かが橋をわざと壊したのだというとこで、その日ペンションに泊まっていた人々は揉め、こんな奴らと一緒にいれるか!と叫んで一人で部屋で寝た奴が案の定殺された。それも密室殺人でであった。
駿は必死で事件を調べ、そしてすぐに犯人をみつけてしまった。
「それでね、朋也に頼みがあるんだけど」
「……あー、えっと……」
僕は嫌な予感がした。駿が犯人が分かった時には必ず僕に頼むことがある。それは……
「犯人分かったから、って、ペンションにいる人達を皆、食堂に集めてくれないか」
そう、これである。
僕の使命。それは、推理ショーの為の人集めである。
これが結構大変なのだ。
「えーっと、ペンションのオーナーが、電波届くとこまで降りて行って警察呼んでくれたみたいだよ。だから今犯人指摘しないでもう少し待って警察来てから警察に言っても……」
「何言ってるんだ。警察が来る前に犯人が証拠隠滅でもしたらどうする。次の殺人が起きたらどうする」
「うう、わかったよ」
僕は小さくため息をついて、ペンション中の人たちを集めに向かうのだった。
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