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こうして僕は次々ペンションの人達に声を掛けていった。
「え、警察今来るんだからその時でも良くない?」
とか、
「何で食堂なの。あんな包丁とか凶器ありまくりの危ないとこに集まらなくてもいいでしょ」
とか。
皆に色々言われるのを何とか、説得・誤魔化し・泣き脅しなどの手段を使って何とかペンション中の人達を食堂に集めるのに成功した。
そして今、総勢30人、何とか食堂に集まった。
いや今回の30人は多かったな……。普通こういうのって一桁じゃん。
いや本当、デカいペンションだったなぁ。
僕が感傷に浸りながら駿の推理が始まるのを待っていると、駿がニコニコと僕に近づいてきた。
「朋也、集めてくれてありがとう。……ところで、権田原さんが来ていないようだけど……」
「あー、権田原さんね」
僕はバツが悪そうに顔をそらした。
権田原さんはゴッチゴチのヤクザさんだった。
入れ墨が丸見えだし小指は無いし。
さっき部屋のドア越しに声をかけたときも「うるせぇ話しかけんな死ね!!」と怒鳴られた。
こうなると無理に連れてくるとかえって駿の推理ショーの邪魔になると思い、権田原さんは放置する事に決めたのだ。
「一人くらい集まらなくてもいいかなって思ったんだけど」
僕がいうと、駿は困ったような顔になった。
「いや、うん、まあそうなんだけど……権田原さんはいてほしい、んだよね」
「……あー……」
なるほど。
さすがの僕にもこれは分かった。
これは権田原さんが犯人だな。
それがわかれば僕のやることは一つである。
「よし、大至急、権田原さんも連れてくるよ!!」
駿の推理ショーの完成のためならヤクザだって怖くない!
僕は権田原さんの部屋へ駆けていった。
そしてなんやかんや、怒鳴られ脅され、ガチ泣きしながらも、何とか権田原さんを食堂に連れてくるのだった。
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