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わたし竹下ミキには父と母と妹の3人の家族がいます。その中でも特に好きなのが、家族おもいで働き者のお父さんです。
ある日、そのお父さんが酷い病気になってしまいました。
主治医の先生はあまり長くはないだろうと言われました。
わたしはお父さんが入院している病院にお見舞いに行きました。
お父さんは窓際のベッドで横になっていました。
「お父さん、見舞いに来たよ」
「いつもありがとう」
「気分はどうですか?」
「薬の副作用かな、少し吐き気がするよ」
「吐き気止めは?」
「一応もらっている」
お父さんは力なく微笑んだ。
帰り際、お父さんから呼び止められた。
「ミキ、もしお父さんが死んだらおまえに知らせようか」
お父さんの顔は真剣だった。
「そんな、病気、きっと治るわよ」
わたしは努めて明るくこたえた。
「そうだね。つい弱気になってたよ」
「必ず治るよ」
「でも、もしもの時は居間のTVをつけて知らせるから」
「わかったよ」
その夜、深夜3時頃だった。
居間のTVがついた。
画面にはお父さんと海水浴に行った時の動画がながれていた。
動画の中でお父さんが言った。
「ただいま」
了
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