知らない感情

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僕には、およそ感情というものが 分からなかった。 感情がない訳ではない。 ただ、 今ある感情が、 嬉しいのか、楽しいのか、 はたまた悲しいのかは 分からなかった。 強いてわかるのは、 快か不快かのみ。 それを世界は許してはくれないから、 人が何をすれば喜んで、 何をすれば悲しむのか。 膨大なデータを分析することで、 なんとか 感情が分かるふりをしてきたんだ。 だから、今僕が抱く感情が「恋」なのか、僕には分からない。 しかし、どこか快い気がする。 この答えを、彼女なら知っているような気がした。
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