失礼な勇者を倒した武具屋のおっさん、繫盛して笑っちまう。

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そして、躊躇うことなく突進してきた。 「勇者にケンカを売ったこと、後悔させてやる!」 勇者の動きは、さすがというべき俊敏さと洗練さだった。 だが、その手に握られた剣が、あまりにも……。 ガギン――。 「剣の手入れしてねえだろ」 「防がれただと!?」 まばらに黒ずんだ剣を盾で防いだ俺は、剣を放して手を固く握りしめた。 そして、目を見開く勇者の薄っぺらい腹に叩き込んだ。 「げふっ」 ズザザザ――。 吹っ飛ぶ勇者。 慌てて治癒魔法をかけるパーティーメンバー。 騒然とする店前の通り。 俺の頭の中では、たった一つの言葉がじわりと大きくなっていった。 やってしまった。 「うわーん」 「大丈夫よ怖くない怖くない」 「死んだの?」 「い、いや、生きていると思う」 泣きじゃくる子供を、なだめようとする母親。 吹っ飛んだ勇者を見て、呆然とする少年と父親。 これは、もう無理だ。挽回のしようがない。 「く、くそ。覚えてろ!」
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