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「その勇者殺しの盾、使ってみたいです。最近物騒じゃないですか」
「あー、殺してないですけどね」
「あの勇者を半殺しにしたらよかったのに……。性能を見たかったです」
「はあ」
どうやら、通りで暴れたのも無駄じゃなかったらしい。
「ママー、お店キレイだね」
「そうだねー」
「アレ可愛い!」
「あ、待ちなさい、走っちゃだめよ」
少女が向かったのは、女性用に見た目をこだわった護身具の前だった
今まで言われたことがねえぜ。店がきれいだなんて。
少女のおかげで心が幾分か軽くなり、ぼんやりしていた感覚がクリアになっていくと、外の喧騒が強くなっていることに気づく。
首を傾げ扉にはめ込まれた覗き窓から外を見ると、そこには人の群れができていた。
子連れ家族や、ご老人たちが集まって、配ったビラと店の看板を見比べている。
「勇者の攻撃を防いだ盾を持っておるんじゃ。相当いい商品を扱っておるぞ」
「いいから来なさいって!ちょっと町への愛情が強いだけで、いい人なのよ」
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