失礼な勇者を倒した武具屋のおっさん、繫盛して笑っちまう。

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ここ最近の町の、不穏な空気はいかんともしがたい。 年寄りや女子供を狙った犯罪が増えているというのに、騎士団の捜査もむなしく、犯人はいまだ捕まっておらず、町の男どもが自警団を名乗って巡回しているけれど、効果なく新たな犯罪が起きてしまって……。 この町で生まれて、この町で育ってきた俺も何かできないかと考えて、自警団に加わってはみたものの、どうにも違う気がしたんだ。 自警団として男どもが家を空ければ、残された女子供が狙われてしまう。 一人店番をするご老人が狙われてしまう。 自警団というアイデアに実効性がないとは言わないが、もっと違う視点や切り口で解決策を見出したほうがいいのではないか。 そう考えるようになった俺は、自分の職業を見つめなおした。 武具屋を営む俺には、武器や防具しか思い浮かばない。武具で自衛できるようになれば、うちも儲かるし、みんなも安心できるし、町の雰囲気もきっとよくなるはずだ。 うちに置いてある武具といえば……。
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