2人が本棚に入れています
本棚に追加
めちゃくちゃ調子に乗ってるというか、選ばれし者ってのを鼻にかけて、クソウザいってことで、この辺じゃあ有名な要注意人物になってる。
「短剣だ。この子に合うのを見繕ってくれ」
いかにも奴隷の少女を指さして、パーティーリーダーである男が、俺に指示を出したわけだが、まあナメてるわ。
噂によると、勇者と呼ばれる転生者は16歳らしい。
俺よりも一回り下のガキが、偉そうに……。
とは思ったけれど、まあ我慢しよう。
いつもならば絶対に追い出してるけれども、今日は優しく穏やかな心持ちでいたい。
俺は裏の倉庫から、安物の短剣を取り出して、固まった。
ずーっと売れないであった安物を本能的に掴んでいたからだ。
ああいう手合いには、ナメられちゃいけないって性分があるもんで、体が勝手に動いてた。
俺は、首を振って悪感情を振り払い、まあまあ自信のある短剣と高価な短剣に持ち替えた。
精算台の上に並べて、文句ないだろ?と表情で語りかけたわけだが、転生者のソイツは鼻で笑いやがった。
最初のコメントを投稿しよう!