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そう言い、君は仕事用のトートバッグを持って玄関まで向かう。僕も見送るために一緒に向かった。玄関まで来ると、君はニコリと笑って言う。
『靴、あの日みたいに履かせてくれない?』
『わかった』
付き合って二年目の誕生日に、僕は彼女に靴をプレゼントした。その時に履かせてあげたんだ。白いパンプスは華奢な君の足によく似合ってる。
『どうですか?シンデレラ』
『最高です!』
『シンデレラ、そんなこと言わないでしょ』
『フフッ』
二人で笑い合う。そして君が『行ってきます』と言って、僕は『行ってらっしゃい』と返す。扉が閉まる。君はカボチャの馬車じゃなくて、赤いクロスビーに乗って夜の街へと消えていく。
またすぐに君の『ただいま』が聞けると信じていた。でも、君の『ただいま』は永遠に聞けなかった。
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