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あれは小学三年生のころ。
私は手に蜘蛛を持った男の子に追いかけられた。
今になって考えると、向こうは遊びにつもりだったと分かるのだが、当時の私からしたら、彼は恐怖の対象でしかなかった。
やめてと叫ぶほど、彼は追いかけてきた。本当に怖くてたまらなかった。
その彼とは何故か縁があり、中学生になった今でも同じクラスだ。
彼——佐々木くんを見るたびに、私は今でも蜘蛛を思い出す。
歩きながら彼のことを考えていると、背後から突然肩を三回叩かれた。
「あれ?」
振り向くと後ろには、佐々木くんがいた。
どうしてここにいるんだろう、と不思議に思っていると、彼は「動かないで」と強い口調で言った。
彼はスッと私の肩に手を伸ばし、そして——。
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