6人が本棚に入れています
本棚に追加
私の肩に乗っていた、全長十センチメートルくらいの大きな蜘蛛を取ってくれたのだった!
「うわ、気持ち悪い!」
「……大丈夫、もうついてないよ」
佐々木くんは、近くの茂みに蜘蛛を逃がすと私のところに戻ってきた。
「いきなり声をかけてごめん」
彼は申し訳なさそうな顔をした。
「今の蜘蛛はジョロウグモって名前なんだ……。たしか大塚さんは蜘蛛が苦手だったよね?」
「うん。もしかして私のために取ってくれたの?」
「……。あのままじゃ大塚さんかわいそうだと思って」
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
そう言って、佐々木くんははにかんだ。
その照れた顔が、私の鼓動を揺れ動かす。
最初のコメントを投稿しよう!