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俺が住んでいる都心のマンションから老人が収容される予定の富士裾野の森林施設まで車で東名高速を使い約2時間かかった。俺はその場所である森林施設に到着した。その森林施設へは誰に聞く事無く、その情景が脳裏に描かれ脚が勝手に動きはじめその場所へと導いてくれたのだ。 「おや?ここは?」 施設建設のため杭が立ち区画されていたが… 「ここって俺が捨てられた場所だ…」 そうこの場所は俺が産まれて1週間後に捨てられた場所であった。 何故ここに俺は導かれたのだろうか? そして… 「今後この場所に老人を棄てる?俺と同じように?俺がされた事を俺がするのか?それは人道を無視していて俺じゃあ無い!」 俺は心の中で何度も何度もその言葉を繰り返した。するといつの間に俺は気を失っていた。 『おい!守 どうした?』 「どうしたの守」 俺に話しかけて来たのは森林の大きな大木である樹霊と俺の耳元に飛び交う精霊であった。 『守、悩むことは無いお前がこれからどうしたいのかじゃよ?国の言う通りにはしたく無い…出来ないんじゃろ?だったらそうすれば良い…亡くすのではなく、活かすことを…』 「そうよ守、森林樹霊の言う通りよ!活かすことよ!」 「んん…」 俺は森林樹霊と精霊の言葉を受け覚醒したのであった。 「え、眠っていたのか?」 「…夢?」 「あ、あ、そうか活かす事か?」 俺は国に言われるまま老人を抹消する事だけに特化する考えだった。この広大な森林で俺は老人を活かすため事業を進める事を考え始めた。 「国への期限は明日だなぁ?よしプレゼン資料を作ってみるか?」 俺は老人を活かすため富士裾野の森林を利用した立地で食品を生産する事に決めた。この立地は森林でアスファルトの都会よりかなり気温も下がり心地良い暑さであった。生産物はまだ未定であるが酷暑のため都会などではヒートアイランドを起こし生産物など造れる余地は無く、この森林、原木を利用したキノコ栽培を食品案とした。そして、その食品会社の管理は俺が経営する運送会社のA Iを改良した人に優しい老人作業を考慮したシステムに変更し管理する。この食品会社は俺の運営する運送会社の系列会社とする。そして老人の雇用は国の穏健を受ける事無く俺が責任を持って行う。その一つとして老人雇用の最先端を目指し全世界に発信し理解を得る。 そして、翌日俺はそんな野心を持ち国へのプレゼンテーションに望んだ。 国からの回答は明日となっていた。国からの回答が例えノーであっても俺の意志は変わる事は無く俺は老人を棄てること無く活かす事を進めて行くと心に誓ったのであった。 終
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