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他の従業員は通勤だが、シガはホテルに住んでいる。
二階の従業員の休憩室の半分に敷居があって、敷居の向こう側は
シガの眠るベッドとバスルーに、小さな机とテーブルとドレッサーが
置かれている。
もう半分はソファーと長いテーブルと椅子が数個とキッチンとトイレに
洗面所。
ちなみにシガはマエナの寝具ではなく綿毛だが、寝心地は良い。
目覚まし時計で朝になると目覚めると、ドレッサーの前で自分の髪を
上のほうでツインテールにする。
そして歯磨きをして一階へと降りると、シガより早起きして出勤した
料理人の女性、ティサナが洋菓子を朝食として用意してくれている。
飲み物は年中、ホットミルクで、洋菓子は日によって違う。
「おはようシガ、今日の朝食はラズベリーパイだよ」
と、食堂の白い丸テーブルに置かれた。
「おはようございますティサナさん、今朝もおいしそう!」
シガの瞳が輝く。
これは比喩ではなく、本当に光を放つのだ。
シガが甘党というのもあるが、糖分を取ることは魔力を使うときの
エネルギーでもあるのだ。
「おはようございます。ティサナさん、シガさん」
シガの朝食が終わる頃合いピッタリに、白いブラウスに紺色のスーツを
身にまとった事務員のエイミがきた。
赤毛の髪をキッチリと後ろで編み込み、赤い縁のメガネをかけている。
「本日のミーティングを始めます」
従業員はダンジという大柄な男もいるが、力仕事のみなので
ミーティングには参加しない。
支配人のクロースは既にすべて把握している。
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